さざ波をさざ波が洗う
鶴見駅の西口へ下りて、次の列車まで時間を潰すことにした。
フラフラ歩いていると、オヤジさんが壁の方を向いて、突っ立ったままワンカップをなめていた。
“ぎょろっ”と目が合い、首を右へ振った。邪魔しないでくれ、そんな感じだった。
そうこうしていると、あの男も赤ら顔、この男もか…
昼飯にある店に入った。馬蹄形のカウンターは客人で一杯だった。
耳にイヤホンした若い男は、足を大きく伸ばし、隣の席を塞いでいた様だった。
「隣宜しいですか…」 聞こえるはずもない。店員が察して別の席を促した。
彼と目が合ってしまい、その目つきを長いこと見ることが出来ず、瞬時に下を向いてしまった。
気まずい空気が流量大きく流れ落ちた。
なんか、みんな傷んでるな。
僕は大きな声で、ご馳走様~と言って、少しでもこの空気を壊して店を後にしたいと思った。
海芝浦へ圧力容器・熱交換器を売り込みに行った。
車両からホームへ一歩踏み出すと、細波が反転しながら一面を覆っていた。
ゆらゆら揺れる波上の動きに、僕の心も少しは洗われ、落ち着いていこうと思った。
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