金木犀のかをり
改札を出ると、勢いよく階段を上がりたくなる。前の鉄格子が邪魔なんだけど、来る度にここにはパノラマがある。
いくつも道はある様でいて、生かされている「縁」は、とても近いところで凝縮されている。
静かな夜更けが、今日も始まる。
でも今日はちょっと違った。階段を駈け上がる前に、立ち止まってしまった。自然界の香水に引き寄せられて、お互いに接近し過ぎた。
中国・アモイへオーナーは帰られることになり、今月が最後と聞いた。最後のつもりで来た。気分転換させて貰ったこの店。また一つ、自分の居場所がなくなってしまった感じもする。
帰り道、金木犀は紫色にライトアップされて、なぜだか芳香力もしぼんでいた。
そんなにしぼむなよ。さっき会ったばかりだろう。もう眠ってしまったのか‥
化粧をした金木犀を後にすると、付いていたものが全て無くなった気がした。
気がしたのではなく、無くなったのだ。
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