洗っても落とすことが出来ない衝撃
“先生”と店主が言うので、はじめは耳を持っていかれた。佐藤君が社労士の先生になっていたんだ。センセイの行きつけの店で一献となった。
調べてみたら、09年10月17日、ここ塩竃で一夜を過ごした。それ以来のことだ。
そんなに時間が経たない内に、掲げられた暖簾に汚れの痕が付いているのを、目にしていた。
「カウンターの上まで、濁流が入ってきましてね。油まみれで洗っても落ちないんです。」店主の張りつめた眼差しをじっと見ていた。
普段、日本酒は飲まない口だが、この「浦霞禅」はとにかく旨かった。この近くに酒蔵があると聞いた。日本酒の極味は、ワインの風味と重なることが多い。
明日、東京の市場に出る塩竃の魚を一寸早く頂いた。
佐藤君と分かれる時、霞んだ街路灯の様に、しらはたの店明かりだけが目に付いた。
崩れかけた建屋の前を、平林先輩と歩きながら、もう1軒入りたい気分でいた。
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