国府津
小田原から戻る形で二宮駅で下車し、スプリングチューブ(テープ螺旋管)の営業へ出かけた。
二度目なのだが、前回は小田原駅のホームで立っていられない程の寒さを思い返せる程、今日は穏やかだった。
二宮駅の一つ手前が国府津駅。この駅名には、特別な響きが自分の中にはある。
城山三郎の作品に石田礼助の生涯を書いた作品がある。この中に、国府津駅が出てくる。
ずっと訪れてみたい。そんな気持ちはどこかにあっても、通過することさえ機会がなかった。
通過しながらの窓から眺める景色は、城山の作中の曖昧ながらも豊かに巡ってくる町並みの匂いに包まれる。明るい陽の光も手伝ってか、実に胸が踊った。
帰り道、車窓から海面が目に入る。ギラギラ揺れている。ほんの数秒なのだが。その後、山が連れ立って景色は色褪せていく。俗に戻された思いに。
今度は国府津で下りて、少し歩けたらと思う。
薄肉パイプをきっかけに。
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